無添加住宅にするか、在来工法の木造住宅にするか悩んでいます。
A
無添加住宅も従来の木造住宅も、ともに同じ「木造軸組構法」と呼ばれるものになりますが、内容は全く異なります。
●新築独自の匂いがするのが「在来工法」です。
●新築独自の匂いがしないのが「無添加住宅」です。
日本の住宅の耐用年数は26年と言われています。
在来工法(木造住宅)の多くは、
・外壁サイディング
・外部耐力壁面材に針葉樹合板
・内壁クロス
・外周部構造材に集成材
を使用していることが多いのですが、耐用年数が26年間なのは、壁内の湿気が滞留し接着剤を使用している柱を腐らせる「内部結露」によるものが一番大きい原因だと思われます。
それは、建築資材を工業製品化して、接着剤を多用し、コストを抑え、スクラップビルドを繰り返している歴史もあるからです。
一方、なぜ無添加住宅が新築独自の匂いがしないかと言いますと、合成接着剤を使用せず、昔ながらの江戸時代の家づくりをヒントにした家づくりをしているからです。
また、湿度が壁の中にこもらない造り方を取り入れていますので、日本の住宅の耐用年数は26年に比べるとはるかに長く住宅が長持ちします。
同じ木造住宅でもこれだけ違いがあるので、パッと見ただけでは違いが判らないと思いますが、大きな違いがあるのです。「木がいっぱい使われていて自然派っぽい」というイメージだけにとらわれず、どんな素材の住宅なのか、どんな造り方の住宅なのか、ぜひ気にしてみていただけたらと思います。
江戸時代をヒントに、余談を一つ。
現在ではヒノキもシロアリに食べられてしまいますが、昔の神社、仏閣がシロアリに食べられた記録は未だにありません。
なぜなら、同じヒノキなのですが、江戸時代と現在とでは「乾燥方法」が全く異なるからです。
江戸時代のヒノキ材は天然乾燥(自然乾燥)してから利用していますので、ヒノキが本来持っている木の樹脂が経年変化で固まり、シロアリが食べようとしても顎が外れて食べられないのです。
一方、現在のヒノキ材は「KD材」(強制乾燥材、キルンドライ)と言って、強制的に水分を抜く方法が用いられます。強制的に水分を抜くのと一緒に大事な樹脂も抜けてしまい、ヒノキの内部がカスカスになってしまうのです。ですから現在のヒノキ材は諸条件が整うとシロアリに食べられてしまいます。
このように同じヒノキ材でも、材料の作られ方によって大きく違いが出てきてしまいます。
(回答 田中善隆)